日本社会の誕生

日本社会の誕生  吉村武彦  岩波ジュニア新書Img7af34ca2t8p53w


中高生向けの日本の歴史について書かれた本を読んだ。
最近の研究成果を盛り込んでいて、自分が学生時代に習ったことから大分進んでいるなあと実感した。
内容も高度なところや興味のないところは適当に読み飛ばして読んでみたけどね。

旧石器時代捏造の「神の手」事件前に書かれた本だけど、その辺の部分は穏当な書き方で、これからの成果を慎重に見守りたいみたいな書き方だったね

自分が習った頃は、米の原産地は、雲南、アッサム地方みたいだったけど、最近では長江中下流域になっているんだね。
こういうところは、もっと知りたいかな

邪馬台国、朝鮮、中国大陸との関わりもバランスの取れた無難な書き方だね


各章興味を持ったら、もう少し詳しい本で調べてみると面白いかもね。

偶にこういう本を読んでみないと、考古学や古代史のニュースのことがよく分からなくなるよね。

日本の隣国は、科学的な研究の積み重ねもせずに、こうあったらいいなあという歴史を押し付けてくるのだから、普通の日本人としても、もっと日本の歴史について知って、理論武装すべきだろうね

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キリストの勝利

キリストの勝利  塩野七生 新潮社31640413_1


ローマ人の物語の第14巻目

まだ読んでなかった14巻を読んでみた。
題名の字義通りの内容だったね。

紀元4世紀も終わりに近づくにつれ、ローマはローマらしさをすっかりなくし、中世の暗黒時代とどこが違うのかというような時世になってしまった。

人々は、自由よりも安全、最低限の生命の保証を求めるようになり、
帝国内部では、権力闘争、硬直化した官僚制の跋扈
帝国外部では、異民族の絶えずの侵入。宿敵ペルシャとの攻防。

こうした中、キリスト教は、ローマの古代の神々を異端として駆逐してしまった。
古代オリンピックも紀元393年に廃止になってしまい
この年が、「ギリシャとローマの文明が公式に終焉した年」と言われているらしい。


こういった内容なので、余り万人向けするものではないね。

でもこの時代には、麒麟児が出現するんだね。

偉大なコンスタンチヌス大帝亡き後。
その子供たちは殺し合いを行い、ユリアヌスは、6才のとき、兄を除く家族を全て
失い、修道院で生活する羽目になる。
でも、時世の変化からか、皇帝に呼び寄せられる(兄は既に皇帝により刑死)
そして、絶望的なガリア(今のフランス)へ副帝として派遣される。
哲学の学徒を目指し、軍事のことを何も知らないこの若者は、ここで無類の才能を発揮する。
鮮やかに、異民族を撃退し、兵士たちに皇帝に推されるような存在になる。
そして、果たして皇帝になってしまうのだ、
ここで、キリスト教を廃止しようとする。この行為によって「背教者」の烙印を捺される。
幼い日から、自分だけを頼りに思索し、結果も残したこの稀有な皇帝は、残念ながら対ペルシャとの戦いで、流れ槍で瀕死の重傷を負いなくなってしまう。

この後、ローマでのキリスト教は、絶大になり、もう止めるものをなくなってしまった。

ローマ帝国の外では、あのフン族も登場し、ローマ帝国の最後は近づいた。
もうこの流れは、必然になった。


この巻では、なんと言ってもユリアヌスだね。
カール・マルクスの唯物論では、下部構造が上部構造を規定するとし、個人の役割を限定的に捉える考え方が、近代には大きな影響を持っているけど、
ここでのただの哲学好きの青年が、成し遂げたことは、そういうものでは説明できないよね。
この人は、ものを真摯に考えるという行為のみで結果を残す仕事を成し遂げ、歴史に足跡を残した。
キリスト教会からは、背教者と呼ばれたが、その生涯は、文学作品にもなったし、
忘れることのできない人物として、永遠に名前が残った。

次巻が、いよいよクライマックスか
塩野先生15年もよく書き続けることができたね。
示唆に富む話ばかりだし、この本も永遠に語り継がれるのだろうね

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ハンニバル戦記

Img9341e4f7mrg557   塩野七生  新潮社

 

塩野先生のローマ人の物語が今年いよいよ完結ですね。15年の長きに渡り、書き続けてきたのは、もう偉業というしかないですね。

それに、面白い。

自分は、13巻まで、「全ての道はローマに通じる」のインフラについて書かれたもの以外は、読んできた。早く14巻も読まなくてはいけいと思っているのですが、なかなか読みにくい時代に突入してしまったのでね。まあ、年内には読みたいと思っています。

「ローマ人の物語」の中で、どの巻が面白いと質問されたなら、多くの人は、ユリウス・カエサルの巻と答えるに違いない。

自分もそう答えるし、何故カエサルが天才なのか?ということを、塩野先生が、微に入り細に入り、キケロの現代まで残った書簡、文集などを使って答えてくれている。

天才の話は、面白い。

カエサルは、女をくどくのも、借金するのも、絵になっているし、若いときのおたずね者としての諸国放浪の話も面白いし、ガリアでの異民族の交流も、宇宙人との遭遇みたいで、どきどきする話になっている

そして、。政治をかく行う。相手をどう取り込み、懐柔するのかも納得させるものがある。

凱旋式に白馬に乗っている中で、「ハゲ」と言われるところも、普段兵士、庶民に愛されている証拠で、ほのぼのさせるものになっているし、クレオパトラとの恋愛も、生涯に花を添えている。

本当にみんなに愛された英雄だと解るね。

歴史家モムゼンが「ローマが生んだ創造的天才」と言ったけれど。それのみならず、人類が生んだ最高の天才かも知れない。

この中でも、最も天才だと感じさせて面白い部分は、軍事的な天才の部分。

ここが、面白いのなんの。この「ローマ人の物語」での一番面白い部分かも知れないね

歴史書だから、カエサルが、なぜそういう戦いができたのかの前史があって、それを踏まえた意味でのカエサルの天才なんだね

その前史が書かれているのが、ローマ人の物語の2巻「ハンニバル戦記」

そこでの内容は、

ローマは、第二次ポエニ戦争で、カルタゴとの戦いで、天才ハンニバルの為に、未曾有の危機に陥った、しかしローマは、国家が一致団結して戦い。最終的には、ローマにも天才スキピオが現れ、勝つことができた。その顛末がこの「ハンニバル戦記」の内容。

ここで、塩野先生は、図を駆使して、戦術について解説してくれている。

その中でも、アメリカの陸軍士官学校でも学習素材になっているカンネーの戦いの場面は、圧巻。手に取るように、人数では少ないはずのハンニバル軍が、数が多いローマ軍を包囲、殲滅していった状況が描かれる。

この場面は、人類の歴史に後世まで語られ研究され続ける事件だね。

凄い臨場感だ。

なんで、ハンニバルが天才だったのかが、この巻を読めば解るね。

下手な解説をしたら、興ざめになるので、興味がある人は読んでね。

軍事的天才のアレクサンダー大王、ハンニバル、スキピオ、カエサル

先人の戦略を巧みに取り入れつつも、それを発展され、兵士を鍛え、采配する。

この戦術、戦略の構想は、天才のみが扱えるものなんだね。天才は、先人のやり方をそのまま踏襲しない。その変え方が絶妙。

キーワードは、騎馬軍。機動力だね。この機動力をどう使うかによって、勝敗が分かれるのだね。

現代では、戦車の使いかた。

カエサルは、ポンペイウスとの戦いで、この絶対必要だった騎馬力が相手より決定的に劣っていたし、兵士の数でも劣勢。

果たして、どうこの劣勢を挽回して、勝利したかは、カエサルの巻を読むか、カエサル自身が書いた「内乱記」を読めば解るし、天才とはかくあるべきものなのか、ということが少し理解できて、面白いね

このブログでは、余りにも面白い謎なので、種明かしはしないでおきます。

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戦国の武将たち

ここの章では、戦国武将について、海音寺先生と桑田先生があれこれ語っているね

「天と地」で、上杉謙信について書いているだけあって、海音寺先生は謙信贔屓みたい。

謙信の生涯は、美しく見事に生きようとするもので、六欲をほしいままにして、見事な人間になろうなんて、そんな虫のよいことはないと述べているのは、面白いね

見事な人は、必ずストイックだ。それは時代も国も関係ないと述べているね

それと、愚将は、優柔不断だ。家柄のいいところに生まれた人間もあまり賢くないと述べているところは、現代にも通じるところかな

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合戦の美学

ここの章で興味深く感じたところは、桑田先生が述べておられたところなんだけど、

戦争というものは、むごたらしいものなんだけど、それを美化するしか仕方がないというように働くと述べられて、それは文化的な工作で、民族の本能ではないかといい、その文化的工作が上手いほど、優れた民族じゃないかと

非常に殺気だったものを、美化しちゃうということ

日本刀も武器なんだけど、美術品にもしちゃうということ

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乱世が生んだ人生観

ここでは、戦国という時代、本当に戦死ばかりで、道徳もなにもない時代だったけど、代用道徳として「カッコよくやる」というのが出てくる

だから、海音寺先生なんかは、戦国のカッコよく生きるというのは、現代の若者の「カッコいい」というのに通じるものがあり、このことは、きっと新しい道徳が生まれてくるに違いないと述べているのは、面白いと思ったね

後、医者といのは、長生きするために存在するのではなく、死に際をよくするために養生するんだという考え方だったのは、興味深い事実だね

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戦国乱世の気風

対談戦国乱世  海音寺潮五郎 桑田忠親  角川文庫

七回分予定のスロー読書をしていきたいと思います。

戦国ものは、男の人に人気ですね。特に司馬さんの戦国ものがよく読まれているね。その評論も面白いものが多いね。だけど、ここは敢えて、海音寺先生。それも対談ものが分かりやすくていいね。この時代は、いろんな人がいろいろ書き過ぎて、返って分からなくなっているからね。基本的なことをあっさり知ったほうが面白いよね

ただ、自分が興味があるところを、勝手に読んでいくので、興味もった人はこの本を買って読んでください

この章では、3点面白く感じた

まず一つ目は、

次ぎの大河ドラマの主人公の風林火山の山本勘助なんかは、重く取り入れられたはずはないと言っていること、由緒正しい家柄で、浪人を重く引き立てると、武田家の結束がはかれないと、一方織田信長の家は、成金だから、そんな制約がなくて自由自在に取り立てることが出来たと

二つめは、

戦国時代の次ぎは、江戸時代という封建時代が来たが、それはよかったのではないかと述べているところ、法律が行きわたらない民主主義の社会なんてありえない。封建時代を経過しない民主主義の社会なんてありえないと

三つめは、

秀吉のエピソードで、信長から竹を切ってくるように言われた秀吉は、百姓に所定より多く切らせ、所定量は信長に納め、後は売って金儲けをした。このような請負制度が、戦国時代には一般的ではないかと述べているところ

殿様に、年いくらか納めたら、後はみんな、ふところにいれてもよかったのではないかということだね

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小説「宮本武蔵」はラブコメではないのか

吉川英治の「宮本武蔵」は、国民的な小説なので、迂闊なことを言うと気分を害する人もいるかも知れないね。そういう人は読まないでね

現在も井上雄彦さんが「バカボンド」というマンガを、この宮本武蔵を元に書いているし、3年前に大河ドラマになったりと、人気はまだまだ健在だね。吉川英治以外も、宮本武蔵についての小説を書いているのだけど、そういったものは、読まれてはいるのだけど、一般的に言及されるのは、この吉川版「宮本武蔵」

この本を自分は、昔面白く読んで、大河ドラマになったことで再読しようとしたとき、そんなに面白く感じなかった。

剣に生きる武道家の話なんだけど、勝手にいつのまにか強くなっているしね。勝負も真剣勝負なんだろうけど、あっさりしているしね

じゃ、なんでこの小説昔、面白く感じたのだろうか。とつらつら考えていると、ヒロインのおつうさんの魅力なんじゃないのかと思ったのだね

男の剣の道があるなら、女にも恋も道もある。というようなことも書いてあったような気がする。

これは、ラブコメなんだ。そういうふうなところを、みんな気にいってみていたんじゃないのかな。

剣について考えたかったら、武蔵の「五輪の書」でも読めばいいのだからね。

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棄都の謎

785年長岡京の造宮長官の藤原種継が暗殺される

ただちに大伴継人、竹良ら容疑者数十人を逮捕、処罰される。あの万葉集を編纂した大伴家持も既に亡くなっていたのに、官位剥奪。

さらに、皇太弟の早良親王も幽閉、淡路島へ配流

これは、長岡造都への反対勢力の行動だった。

早良親王は、無実を訴えて食を断ち、淡路島へ移送される途中に絶命

ここで、本当に早良親王が種継暗殺に関与していたかが、古来言われてきた論点だね

早良親王は、桓武天皇と同じ、高野新笠から生まれた弟だったけど、12歳のとき東大寺に出家しているのだね。光仁天皇即位のときも還俗せず、東大寺を代表する立場にもなり、大きな指導力と発言力を持っていた。そして、桓武即位時、父光仁の希望で皇太弟になった。

桓武は、我が子 安殿親王を後継者にしたいと思っていた。

種継事件時、桓武は平城京へ行幸していた、それも一ヶ月も

大事なときの長期の不在。推測にしか過ぎないけど、匂うなあ

更に、典型的なテクノクラートの佐伯今毛人も官を解かれて、太宰府へ左遷

これは、早良親王と親しい関係にあった今毛人も追っ払われたと考えられるのではないと言われている。

このテクノクラートの左遷により、長岡造都事業が狂いはじめた。

ここの章で、面白いと思ったことは

早良親王の遺跡が淡路島の北淡町にあり、平安遷都後800年に早良親王は「崇道天皇」と天皇号を贈られている

この人は、後に平安京での怨霊の一つになり、陰陽師たりの退治の対象になったし、これは、疫神である牛頭天王とも重ねられ、御霊信仰の対象にもなった。八坂神社は、祇園社とも言われ、祭神の牛頭天王を慰撫する祭りが御霊会。つまり祇園祭りだね。

恐ろしいことに、先の阪神大震災の断層がこの北淡路町から走っているのだね

更に、この長岡京の離宮・東宮跡地に日本電産の本社ビルを建てるということで、あれこれ揉めたね

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歴史シリーズあれこれ

日本の歴史というシリーズは、各出版社が、採算度外視して、出版しているので、力が入ったものだけれど、出来にはでこぼこはあるみたいだね

一番有名なのが、中公出版の日本の歴史シリーズ。

ブックオフに行けば、100円で買えるし、ほとんどの図書館で備え付けているので、簡単に読めるね。石の森章太郎さんのマンガにもなっているので、簡単に(簡単じゃないだろう)日本の歴史が分かるようになっている、大学入試なんて、このマンガ読めば、日本史に関しては、楽勝(楽勝じゃないだろう)やんけなんて思ったりするけれど、

このシリーズは、ちょっと学説が古いので、純粋に楽しみで読もうとする人にとっては、興味を駆り立てられるものではなくなっているみたい。

そこで、今から20年くらい前の小学館の「体系 日本の歴史」が出たときは、話題になったし、新しい書き手が登場もしたし、文庫版も出たので、手に取り安いものになったね。特に、古代史は、新しい発見が盛り込まれていて古代史ファンには、嬉しい内容になっていたかも。

バブルの頃、少年ジャンプが好調だったこともあったのかな、集英社も「日本の歴史」を出した、これはなんとカラーで、図版を豊富に入れた手に取ると豪華で得した気になるような本だね。

そして、最近では、講談社が「日本の歴史」を出したね。これは25巻もある長大な内容だったね、新しい学説も、ばんばん取り入れて意欲的な内容だったけど、出版直後の旧石器時代の「神の手事件」に巻き込まれて、書き直しがあったりと、出版社の意欲が空回りしたのか、世間ではほとんど話題にならなかった、まあ日本の歴史なんて、マニアと高校の日本史の先生しか、まともに読んでいないので、こんなものなのかもね

自分が気に入っているのは、集英社版。絵が入っていて読みやすいもんね。

どのシリーズも書き手の力量にばらつきがあるので、面白いものとつまらないものが混在しているみたいだし、誰でも好きな時代があるので、好きでない時代は面白くは感じないよね

いいと思う本は、新しい学説を取り入れているのはもちろんのこと、分かりやすく説明していて、尚かつ、素人はこの程度だと思って、これぐらい書けばいいなんて感じさせない本がいいね。

それで、勝手にあれこれ読んで、これは当たりだ、これは外れだ、なんて自分は、やっているのだけど、本が膨大にあるので、一生のうちには、全ての良さ悪さを分かることはないのだろうね

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