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太宰治の「女生徒」を読んで

ライトノベルの野村美月さんの「文学少女と死にたがりの道化」に出てくる、遠子先輩に触発されて太宰治に対する興味が自分の中で広がってしまった。

そして「女生徒」を読んでみた。

うううう…………

こんな傑作を今まで読んでいなかったなんて

ただし、この小説は素晴らしいけど、万人向けではないね

①、「女生徒」を読んで素晴らしいと思う人

②、「女生徒」を読んでみたけど、よく分からなかった人

③、読んでいない人

3分類できるけど、圧倒的に③の人がほとんどで、読んでみても①と感じる人も、読んだ中では少数派かもしれないね。ただ、はまったら、エクセレント!!!と叫ばずにはいられない話だね

昔、村上龍さんの「ラブド&ポップ」を読んで、これは援助交際する少女の話で、よく少女の内面世界を描けているなあ。と感心して、最近の若者の世界は変わってきているのだねなんて思っていたけど、今から70年も前のこの小説の少女の内面は、今の若者と同じじゃんと素直に思ったね。

文学というものは、巨大な才能のある者しか書けないものなのかな

ただ、この小説は、ストーリーというものはないのだね。ただのモノローグ。でもこのモノローグを辿ると、母一人娘一人の寂しい家庭の姿もある面描き出している。日常は厳しく、淋しいものかもしれないけど、少女特有の朗らかさがこの物語の世界を明るく語っているね。

本当に深刻なものは、軽やかに語る。

こういうことのできる人は、老若男女の区別なく徳性が高いと思うね。これをコギャル言葉で語るなんて、なんておしゃれなんだ太宰治。

昔からも、今、そして未来まで、太宰が永遠の青春小説と言われる所以が少し分かったね。

余りにも、面白かったので、抜き出しもしてしまおう。

・眼鏡をとって人を見るのも好き。相手の顔が。優しく、きれいに、笑ってみえる。

・人のものを盗んで来て自分にものにちゃんと作り直す才能は、そのずるさは、これは私の唯一の特技だ。

・学校の修身と、世の中の掟と、すごく違っているのが、だんだん大きくなるにつれてわかって来た。

・女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさん。

・もう、お茶の水。プラットフォームに降り立っら、なんだかすべて、けろりとしていた。いま過ぎたことを、いそいで思いかえしたく努めたけど、いっこうに思い浮かばない。

・けさの小杉先生は綺麗。私の風呂敷みたいに綺麗。

・大地は、いい。土を踏んで歩いていると、自分を好きになる。どうも私は、少しおちょこちょいだ。極楽トンボだ。かえろかえろと何見てかえる、畠の玉ねぎ見い見いかえろ、かえろ鳴くからかえろ。

・料理は、すべて、勘で行かなければいけない。

・料理は、見かけが第一である。たいてい、それで、ごまかせます。けれども、このロココ料理には、よほど絵心が必要だ。人一倍、敏感でなければ、失敗する。

・ちゃんちゃん気持よく物事に対応して処理して行くほうがいいのか、または、人に悪く言われても、いつまでも自分を失わず、韜晦しないで行くほうがいいのか、どっちがいいのか、わからない。

・昔の女は、奴隷とか、自己を無視している虫けらとか、人形とか、悪口言われているけど、いまの私なんかよりは、ずっとずっと、いい意味の女らしさがあって、心の余裕もあったし、忍従を爽やかにさばいて行えるだけの叡智もあったし、純粋の自己犠牲の美しさも知っていたし、完全に無報酬の、奉仕によろこびもわきまえていたのだった。

・明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。

・おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?? もう、ふたたびお目にかかりません。

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