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半分の月がのぼる空

半分の月がのぼる空 6  橋本紡  雷撃文庫31645363

これは、いつのまにか本編最終巻が出ていた。もう話の結末は見えていたので、あえて買って読む必要もないと思ったけど、やっぱり買って読んでしまった。

里香と裕一がこの巻では、同じ高校で通う話。大きい事件もおこりませんので、ただこの作者の世界観を楽しむ話だと思う。

自分としては、やはり2巻くらいで終わって、簡潔に纏めてくれていたら傑作として良かったと自分は思うけど、橋本さんの世界がすきな人は6巻までつき合えたのは良かったのだろうね。

この小説で、自分が好きなところは、芥川龍之介「蜜柑」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、マルタン・デュガール「チボー家の人々」などをモチーフに里香と裕一の関係を綴っていったところ。

特に、「蜜柑」、この小説は、日本の短編小説で屈指の名作。5分で読める感動。是非読んだこと無い人は読んだほうが良いと思う。

ついで、下手な要約をすると、鬱陶しい空気の中、汽車に作者が乗り込んでいたとき、前に、田舎の少女が座った。その汽車がトンネルを越え、ある貧しい町はずれにさしかかったとき、その少女は突然窓を開け、半身を乗り出して、風呂敷の中の蜜柑を、窓の外で手を振っていた3人の男の子に投げてやった。

素晴らしい。灰色の生活に疲れた雰囲気の汽車の中から、突然の蜜柑の鮮やかなオレンジ色、そして弟たちへ、それを投げるのは、ある優しい純情の交換なんだろうね。この鮮やかな色の変化で、今までくすんだと思っていた生活に、暖かさと色を与えるのは、芥川の持っていた文学の力というものなのだろうね

この「半分の月ののぼる空」では、里香と裕一が、その蜜柑を、お互い投げやりとりするのは、言葉だけじゃない純情のやりとりの視覚的イメージを表現したものなんだろうね。こういう場面は、美しい過ぎるよね。里香の手術の場面での「銀河鉄道の夜」は、死出の旅である銀河鉄道の旅を、里香が死を覚悟したところで、裕一に託されるし、本当に効果的に文学が使われていたね。

ついでに「チボー家の一族」は、裕一ともに、戦っていく覚悟を考え渡らされたものだろうね。

この小説まだ、外伝が出るたしいけど、もう自分はもういいかも

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